トップメッセージMessage from the President and CEO

100年後、200年後も存続する企業グループとなるために、すべてのステークホルダーにとって「いい会社」をつくっていきたい。 東京建物株式会社 代表取締役社長執行役員 野村 均

東京建物グループ設立の祖である安田善次郎は、「不動産事業は人と社会にとって百年・千年の計である」と唱え、「お客様第一の精神」と「進取の精神」を理念に近代的な不動産ビジネスの原型を創っていきました。それから120余年経った今も、その言葉の通り、私たちの事業は社会課題と切り離せないものであり、将来社会に与える影響が非常に大きいと実感します。少子高齢化による人口減少や多発する災害に対するまちづくりの問題、気候変動や地球環境のリスク、グローバル都市間の激しい競争など、現代社会は差し迫った課題を数多く抱えており、いつ不測の変化が起こるかわからない状況が続いています。このような時代のなか、東京建物グループが自らの事業を通じて、現在、未来のお客様や社会に果たすべき役割は大きく、そして、その役割を果たせない企業は今後も末永く存続することはできないと認識しています。

東京建物グループは、2019年に5カ年の中期経営計画の最終年を締めくくり、営業利益500億円の達成をはじめ複数の目標に到達することができました。これらの成果をもたらした背景には、グループ事業体制の再構築と協働の推進によりシナジーが生まれ、グループ求心力が高まったことがあります。この流れを絶やさず、グループの一体感をさらなる持続的成長へとつなげるために共通認識となる長期ビジョンを策定しました。

この長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」は、SDGsのターゲット年とも重なる2030年頃を見据えたものです。“デベロッパー”という旧来からの言葉をあえて掲げたのには意味があります。“Develop”という言葉は、土地や建物を“開発する”のほかに、ソフトの面から“発展させる”“進展させる”という意味を持っています。単にビルや住宅というハードをつくって収益を積み上げるだけでなく、人が「住む」「働く」「憩う」場をサービスも含めて創造し、長期的な視点からまちの文化や機能を発展させていく、つまり、創業者の唱えた「百年・千年の計」にも通じる、私たちの目指す姿が次世代デベロッパーという言葉に集約されています。

長期ビジョンでは、「社会課題の解決」と「企業としての成長」のより高い次元での両立を目指しています。SDGsの17の目標のなかにも、私たちの事業に関係の深い項目が多く存在していますが、まず、「11.住み続けられるまちづくりを」は、すべての事業活動を通じて貢献していくべき目標と位置づけています。環境や自然災害への適応力を高めたビルや住まいの提供や、安全・安心なまち、魅力的なまちづくりによるさまざまな社会課題の解決に貢献しています。例えば、八重洲・日本橋・京橋エリアの再開発では、地元の地権者の方々と再開発組合を結成し、地域の社会課題の解決と祭りや文化などの魅力向上に貢献するまちづくりに取り組んでいます。また、環境性能と経済性を両立するビルや住宅の創出にも力を注いでおり、2019年7月、池袋の大規模複合開発の「Hareza Tower」が超高層複合ビルで初となる「ZEB Ready」認証を取得しました。住宅では、東京建物グループの分譲マンションシリーズ「Brillia」が環境負荷を抑えた暮らしを提供する「Brillia eco」を提唱しており、2022年竣工予定の「Brillia Tower聖蹟桜ヶ丘 ブルーミングレジデンス」が首都圏初の超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)として認証されました。そして、2020年、グループESG経営の高度化を目的に新たにサステナビリティ委員会を設置しました。社長執行役員直轄の委員会として、サステナビリティに関する取組みを全社横断的に推進していきます。

このように東京建物グループがサステナビリティ経営に大きく舵を切るのは、資本主義の構造的弱点が明らかになり、地球規模の社会的課題が山積する現代では、真に「いい会社」でなければ生き残ることはできないと認識したからです。長期ビジョンのサブステートメントは「すべてのステークホルダーにとっての『いい会社』を目指す」としましたが、私自身、東京建物グループは日本一いい会社だと自負しています。企業理念にあるように、事業において最も大事なことは「信頼」であり、「信頼」こそが未来をつくると信じて、お客様やお取引先様との関係を築いてきました。これはもちろん短い期間で成し得たものではありません。“東京建物グループの社員はいいね”、“あそこは信用できるから長く仕事をしたい”と皆様に言っていただけること、これこそが私たちの最大の強みであり、あるべき姿なのです。株主様、お客様、お取引先様、社員など、それぞれの立場で利益が相反する部分もありますが、このあるべき姿を今後もしっかりと貫いていくことで、どの角度から見てもバランスのとれた「いい会社」になることは不可能ではないと私は思っています。100年、200年先にも社会から信頼される企業であるために、東京建物グループはもっと「いい会社」を目指し、グループ一丸となって邁進していきます。

Hareza 池袋