貢献するSDGs目標
東京建物は、社会課題の解決に向けて「食」のジャンルで挑戦する若いシェフたちを、「チャレンジキッチン」という公募形式のコンテストで応援しています。キッチンカーというスタイルを用い、独立開業を希望する若手料理人の技術(調理)力と運営計画、そして社会性や応援される力を審査し、最終選考通過者の独立開業をサポートしています。このプロジェクトについて、前編では「チャレンジキッチン2023」の出店シェフ2名と料理のご紹介、後編では東京建物と「食」の関わりについてご紹介します。
キッチンカーは、平日のランチタイムを中心に営業しており、オフィス街においしい料理を提供しています。テイクアウト利用はもちろん、イートインスペースもあるのでオープンカフェ的な利用も可能です。(場所:東京都中央区日本橋2丁目2−19)
2023年1月からのキッチンカー出店者は、『Le Défi Kitchen(ル デフィ キッチン)』の長内彰吾さんと、『curry Sfidante(カリー スフィダンテ)』の金武良磨さんです。ランチタイム後のキッチンカーにお邪魔して、それぞれのシェフにお話を伺いました。
フードロスを減らせるように産直野菜を使った本格的なハヤシライス。
Le Défi Kitchen(ル デフィ キッチン)
フランス語で「挑戦」を意味する“Le Défi”を店名にしたキッチンカー。お弁当とは思えないほどの本格的なハヤシライスを提供する長内シェフは、実家が飲食店だったこともあり調理専門学校に進学。卒業後上京してフレンチレストランで修行をし、現在独立へ向け準備中です。
「レストランで修行中に、全国の農家さんを訪ねて仕入れをしながら、ずっとフードロスについて考えていました。野菜にしても料理として使う部分が限られていたり、もったいないのでは?と、味や栄養面は変わらないのに、規格外だからと捨てられていた野菜があることにも疑問を感じていました」そんななか、チャレンジキッチン募集を知ります。
「キッチンカーを題材にした映画(『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』2015年公開 アメリカ映画)を観て以来、かっこいいなあと思っていました。単に独立のサポートをしてもらえるだけでなく、フードロスなど社会課題の解決と、キッチンカーというスタイルでチャレンジできるということで、これしかない!という想いで応募しました」
そんな長内シェフのハヤシライスは、フランス料理を基本とした手の込んだ仕事で生み出されます。
「弱火で半日かけて煮ることで肉も野菜もとろとろに仕上げています。4種類のお酒を使った独自のオリジナルレシピ。ルーは使っていないのでグルテンフリーです」と語る。全国各地の農家から規格外として廃棄されてしまうはずだった野菜を直接取り寄せ、フードロスを少なくするために無駄の出ない調理法で作り上げます。
「フランス料理は丁寧さが真髄。中途半端な気持ちでは無理です。おいしさの追求も、社会課題の解決も、それなりの覚悟が必要だと思います」と語る長内シェフ。
キッチンカーだからこそのダイレクトなコミュニケーションからは学びも多く、おいしさだけでなく、接客・集客、一つひとつの積み重ねが大切だと感じています。実際に出店することでまち・人に寄り添い、日々のビジネスの積み重ねの結果、週に2~3回もリピートしてくれるお客様も増えつつあるなど、充実感が得られている様子。お客様のリクエストから期間限定メニューを開発するなどすべてが挑戦です。この経験を生かして、現在の南青山のシェアキッチン、さらに2024年度には完全に独立した店舗へステップアップするべく、Le Défi=チャレンジを続けていくそうです。
4月7日からは夜の営業も開始(水・木・金の17:30~)して、ワインバル、ビアガーデンとしても利用できるようになりました。フランス料理仕込みのお料理をおつまみにして自家製のサングリアも楽しめます。ランチだけでなくぜひ夜も立ち寄りたいお店です。
有機無農薬の食材を使用し健康・アレルギー対策にこだわったオリジナルカレー。curry Sfidante(カリー スフィダンテ)
もう1店舗は、食事内容と質の改善で20kgの減量に成功した経験を持つ金武シェフの「curry Sfidante(カリー スフィダンテ)」です。減量も、チェレンジキッチンへの応募も、じつはコロナ禍がきっかけだったのだとか。
「飲食店の営業時間短縮で、いろいろなことを見直す時間が生まれました。まず、自分自身の食事の見直しを行い2年間で20kg体重が減り、食生活への考え方が変わりました。またお客様に提供する食事についても、健康やアレルギー対策など様々な研究ができました。そうした前向きな変化が、チャレンジキッチンにトライするモチベーションにつながっていきました」もともと食べることが好きで料理の世界に入った金武シェフ。自身の経験から、人の身体や健康に良い食の在り方をたくさんの人に伝えたいと考えています。
「人の身体は食べるもので出来上がっています。様々な健康の問題や社会問題を解決するための根本(核)になるのが“食”だと思います」と語る。備品や容器、袋などにもすべて環境に配慮した素材を使っています。
そんなこだわりのカレーは、有機無農薬の食材が基本。
「化学調味料、小麦粉、保存料、動物性乳製品、添加物は不使用。また可能な限り有機無農薬、特別栽培といった素材、食材を使用しています。素材の90%以上が有機無農薬の人参・トマトを使ったオリジナルのルーです。ここまで有機無農薬の素材にこだわったカレーは、都内にもあまりないと思います」と語ります。食物アレルギーにもしっかり対応。カレーが好きな方、スパイスが好きな方、健康が気になる方、いろいろな方に楽しんでもらえるよう、辛さもありながら食べやすいことを第一に考えています。
「食を通じて、八重洲エリアで働く皆さんを応援したい」と語る金武シェフ。初めてのキッチンカーですが、週に何度も訪れるリピーター、こだわりに共感していただけるお客様も着実に増え、チャレンジした手応えは充分だった様子です。4月からは土日祝日も営業して、ビジネス街で働く方たちだけでなく、より多くの皆さんに楽しんでもらえたらと意気込んでいます。